センター長?各主任教授ご挨拶

センター長ご挨拶

野部薬理センター長

昭和医科大学薬理科学研究センター長
野部 浩司

昭和医科大学 薬理科学研究センターHPへのご訪問ありがとうございます。
センター長としてご挨拶申し上げます。

 薬理科学研究センター(薬理センター)は、2015年度からの準備期間を経て、2019年に本学初めての研究センターとして開設いたしました。初代センター長として小口 勝司 教授(現?学校法人 昭和医科大学理事長)、二代目センター長として木内 祐二 教授(現?副学長、昭和医科大学附属 看護専門学校長)が国内外でも類を見ない「多領域に渡る総合的な薬理学研究の中核」としてその基盤の整備と人材の育成を行って参りました。
 開設から2024年度までは、大学院医学研究科?医科薬理学分野(木内 祐二教授?辻 まゆみ教授)、歯学研究科?歯科薬理学分野(高見 正道教授)、薬学研究科?毒物学分野(沼澤 聡教授)、薬理学分野(野部 浩司)の4つの分野で構成されておりましたが、2025年度からは新たに薬学研究科?薬物動態学分野(杉山 恵理花教授)が加わり5分野となりました。また、木内教授の御退任を受けて、医科薬理学分野に小口達敬教授が着任され、センター長を私が拝命するなど、新たな体制で薬理センターを運営してゆく事になりました。
 薬理センターの基本的なコンセプトは、学部や領域の枠を超えて幅広い薬理学者が集うことにより、研究領域を広げ、その厚みを増すことです。そのために各学部?部門単位で実施してきた研究テーマを全てシャッフルして、いくつかの大きな研究グループを作りました。この研究グループには、中枢神経系薬理学、がん領域薬理学、硬組織薬理学、生活習慣病薬理学、薬物代謝系薬理学などがあり、定期的に見直しや再構築を行なっています。それぞれの研究グループには、各学部の教育職員、大学院生、研究生、学生など同じ学術的興味を持った薬理学者があつまり、その中で影響し合いながら独自の、或いは共同の研究を行っています。この研究グループ化は研究促進だけでなく、思わぬ方向性への研究発展や、特許取得?研究成果の製品化などユニークな成果に大きく貢献しています。また、大学院生や学部学生はさまざまな学部の先生方から研究指導を受けることとなり、より多角的な視野を持つ機会を得ています。
 このように、5つの部門による研究センターが円滑に運営されている一つの基盤としましては、ワーキンググループ (WG) による運営が挙げられます。研究グループと同様に、全ての部門の教育職員混成によって学術、広報?イベント、環境整備、会計の WG が組織されています。これらのWGは、学内外の研究者を招いてのセミナーから、研究機器の共同使用とその管理、研究活動環境の整備や広報活動、そして一本化された大学研究費の管理まで連携しながら行い、薬理センターを一つの組織として運営する力となっています。
 私たちはセンター内での活動だけでなく、学内外とも様々なつながりを持っています。本学?臨床薬理研究所 臨床免疫腫瘍学部門や臨床腫瘍診断学寄附講座の先生方をはじめ、国内外の大学?研究機関および企業や行政のみなさんとも研究活動を通して連携を行っています。
 薬理センターは、研究活動を中心として医療への様々な貢献を目指しておりますが、同時に人材育成にも力を入れています。特に大学院生による学位取得に向けた研究指導には力を入れており、附属病院に勤務する医師、歯科医師、薬剤師等への研究指導や共同研究を推進しており、薬理センターで培った研究力が臨床の場でも充分に発揮されています。今後も薬理学に興味を持つ大学院生や若手研究者を積極的に受け入れて参りますので、ご興味にある方はぜひご連絡ください。
 昭和医科大学は2028年に創立100周年の節目を迎え、その記念事業の一つとして鷺沼新キャンパスが2027年度に開設となります。これを期に本学の多くの研究組織(講座や部門など)がセンターとして再編されることが決まっております。私ども薬理センターは、新設される多くのセンターの先駆けという役割も持っています。今後も薬理学分野がセンター化されることによる様々な革新を発信して行く役割を担ってゆきます。
 皆様が本学?薬理科学研究センターにご興味を持って頂き、センターの扉を開いて頂ける事を楽しみに、我々はいつでもお待ちしています。


research-group
実践医療への貢献を志とする昭和医科大学ならではの、医療と臨床へのフィードバックを常に視野に入れた患者志向のシームレスな協働研究を進め、昭和医科大学の理念の実現を目指していきたいと存じております。ご指導、ご支援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

木内 祐二 教授

薬理科学研究センター長医学部 薬理学講座 医科薬理学部門
木内 祐二 教授

昭和医科大学薬理科学研究センターの開設にあたり、ご挨拶申し上げます。
私は、平成28年(2016年)4月から、医学部薬理学講座医科薬理学部門を主宰させていただいております。平成4年(1992年)から平成10年(1998年)まで、本部門の前身である第一薬理学教室の教員として教育、研究に従事し、その後、薬学部の病態生理学、薬学教育学をへて、18年ぶりに薬理学へ戻ってまいりました。この間、小口勝司教授のご指導のもと、第一薬理学教室が大いに発展するとともに、医系総合大学の昭和医科大学ならではの学部横断の教育?研究組織として、平成27年(2015年)に医学部、歯学部、薬学部の薬理学と薬学部毒物学が一体となって、薬理科学研究センターが立ち上がり、さらなる成長を続けられました。そして、平成31年(2019年)4月に、薬理科学研究センターが昭和医科大学の正式な組織として開設となりました。このような目覚ましい発展は医科薬理学部門およびセンターの教員一同の努力の賜物と考えております。
医科薬理学部門では、従来から、実践医療への貢献を志とする昭和医科大学ならではの、患者中心の医療と臨床へのフィードバックを常に視野に入れたシームレスな教育と研究を目指し活動を行っておりました。薬理科学研究センターにおいても、センターを構成する4教室の多彩な教員や学生が有機的に協働し、さらには学内外の医療?研究施設とも密接に連携して研究を促進する環境を整え、神経、骨?カルシウム代謝、生活習慣病、腫瘍?免疫、薬物代謝に関わる薬理など、多様な基礎?臨床薬理研究を積極的に推進し、医療者として将来の患者の幸福に貢献したいと思っております。
ご指導、ご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。


高見 正道 教授

『歯と骨のバイオロジーで医療の未来を拓く』

高見正道教授歯学部 歯科薬理学講座
高見 正道 教授


赤や緑色に光る遺伝子改変メダカ
歯科薬理学講座は、薬理科学研究センターを構成する研究室の1つとして『歯と骨』の研究に取り組んでいます。主な研究テーマには1)骨代謝と神経の関係解明(根岸貴子博士)、2)歯や骨と脂質代謝の関係解明(坂井信裕博士)、3)骨疾患治療薬が成長に及ぼす影響の解明(唐川亜希子博士)、4)遺伝子改変メダカを利用した骨と重力の関係解明(茶谷昌宏博士)および、5)破骨細胞の骨吸収メカニズムの解明(高見正道博士)が挙げられ、いずれも薬物のほか、遺伝子改変技術や電子?レーザー顕微鏡などを利用しているのが特徴です。
現在、これら教育職員の指導のもとで8名の大学院生〔歯学研究科4名、医学研究科4名〕が昼夜を問わず研究を行っています。さらに2名の歯学部学生がマルチ?ドクター?プログラム制度を利用して独自の研究を行ない、H30年度SCRP(日本歯科医師会主催)の基礎部門2位や、H29年度日本宇宙生物科学会優秀発表賞などを受賞しました。また、薬理科学研究センターでの実習を選択した薬学部の4年生と6年生の研究指導もしているので、研究室内は色々な出身の学生や大学院生でいつも楽しく賑わっています。
骨や歯は一見地味に見えるかもしれませんが、様々な種類の細胞によって極めて厳密に発生や恒常性が維持されています。少しでも興味を感じたらぜひ遊びに来てください。赤や緑色に光る遺伝子改変メダカ(写真)と一緒にお待ちしています。

野部 浩司 教授

野部浩司教授

薬学部 基礎医療薬学講座 薬理学部門
野部 浩司 教授

薬学部?基礎医療薬学講座?薬理学部門は、(旧)薬学部?薬理学教室として、薬学部における薬理学を担当してまいりました。そして、2015 年度より昭和医科大学?薬理科学研究センターを構成する部門の一つとなりました。
薬学部における薬理学の位置づけは、病態の解明?理解から新規治療薬の発見、開発そして薬効と安全性の確保という広い範囲をカバーする領域であり、極めて重要な位置を占めています。薬理科学研究センターにおいても、基礎から臨床まで薬物に関する様々な研究と学生への教育を行っています。
薬理科学研究センター内では、次第に学部間や研究室間の垣根が取り払われ、今後ますます「センター」としての有機的なつながりが尊重されるようになってきます。教員が様々な背景を持つ他学部の薬理学者と互いの共通の興味について討論行い、あるいは学部学生や大学院生が他学部の教員より指導を受けるといったことはこれまでも行われて参りましたが、さらにそれが活性化され、様々なプロダクトを生み出してくると期待されています。
私ども薬理学部門としては生活習慣病に関する病態の解明や新たな治療法の発見確立を目指しておりますが、それもセンター内で互いに連携しあって進められるテーマに変わりつつあります。
薬理科学研究センターという国内外でも新しい取り組みがどの様に進んでいるか、どの様なメリットをもたらしているか、HPを通してご覧ください。そして興味を持たれましたら是非ご一報ください。薬理科学センターは内部に向けて閉ざされた集合体ではなく、常に外部に向けて開かれた存在となっています。


沼澤 聡 教授

沼澤聡教授

薬学部 基礎医療薬学講座 毒物学部門
沼澤 聡 教授

私たち薬学部毒物学部門が薬理科学研究センターに合流したのは、センターが発足して1年後の2015年でした。なぜ各学部の薬理学講座が集うセンターに「毒」なのか???

それは、薬の薬効と安全性(毒性)は常に表裏一体であり、薬物の安全性を確保して初めてその有効性を引き出すことに繋がるからです。つまり、薬理科学研究センターにおけるトランスレーショナル?リサーチ(基礎研究の成果を臨床に結びつける研究)には安全性に関する研究が必須ということで、私たち「毒物学」も当センターの一員として参加することになったわけです。現在の研究テーマとしては、医薬品有害反応の発症メカニズムについて酸化ストレスとの関連を中心に解析しています。また、乱用薬物の精神?神経毒性の発生メカニズムや、臨床中毒時の薬物体内動態と毒性との関連性(トキシコキネティクス)などについても研究を行っています。

今後も薬理科学研究センターにおけるピリリと辛いスパイスであるべく、臨床に繋がる毒性研究に邁進してまいります。